お子さんに長く治療が必要な病気や、発達・障害のことがわかったとき、ご家族は治療や療育のことで頭がいっぱいになります。そのうえで、通院や入院の費用、付き添いのための仕事の調整など、お金の心配も重なりがちです。
子どもの病気や障害には、大人とは別の医療費助成や手当、療育のための支援が用意されています。ただし、ほとんどが「申請しないと始まらない」制度で、病院から自動的に案内されるとは限りません。
このページでは、子どもの病気・障害で対象になる可能性がある代表的な公的支援制度をご紹介します。
1. 導入:まず知っておきたい子どもの制度
| 制度名 | どんなときに対象になるか | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 子ども医療費助成 | 子どもが医療機関を受診したとき | 自治体が自己負担を助成(対象年齢は自治体ごと) |
| 小児慢性特定疾病の医療費助成 | 対象の慢性の病気と診断されたとき | 自己負担が2割になり、月の上限額が設けられる |
| 自立支援医療(育成医療)・未熟児養育医療 | 障害を軽くする手術や、未熟児の入院 | 医療費の自己負担が軽くなる |
| 特別児童扶養手当 | 病気や障害で日常生活に著しい制限がある20歳未満の子を育てているとき | 保護者に月38,930円〜58,450円 |
| 障害児福祉手当 | 重度の障害で、常に介護が必要な20歳未満の子 | 本人に月16,560円 |
| 障害児通所支援 | 療育や放課後の支援が必要なとき | 原則1割の負担。3〜5歳の児童発達支援は無償 |
医師の視点総合診療医のひとこと
子どもの慢性の病気は、診断がついたあと、主治医から医療費助成の話が出ないまま通院が続いていることがあります。小児慢性特定疾病の対象かどうかは、主治医に「小慢の対象になりますか」と一言聞くだけで確認できます。医療費助成と手当は別々の制度なので、両方を確認しておくことが大切です。
― “おせっか医”になりたい大学病院総合診療科・家庭医専攻医
2. 医療費の助成
子ども医療費助成(乳幼児・子ども医療費助成)
ほとんどの自治体で、子どもの医療費の自己負担を助成しています。対象年齢(中学生まで、高校生まで、など)や所得制限、窓口での一部負担の有無は、自治体によって異なります。まずはお住まいの市区町村の制度を確認しましょう。
小児慢性特定疾病の医療費助成
がん、慢性の心臓・腎臓の病気、内分泌の病気、神経・筋の病気など、国が定める800以上の病気が対象です。対象になると、医療費の自己負担が2割になり、世帯の所得に応じた月の上限額が設けられます。
| 所得の区分 | 自己負担の上限(月額) | 重症の場合など |
|---|---|---|
| 生活保護 | 0円 | 0円 |
| 低所得(市町村民税非課税) | 1,250円〜2,500円 | 同じ |
| 一般所得I | 5,000円 | 2,500円 |
| 一般所得II | 10,000円 | 5,000円 |
| 上位所得 | 15,000円 | 10,000円 |
- 対象は18歳未満(18歳の時点で受給していて、引き続き治療が必要な場合は20歳未満まで)
- 入院中の食事代も半額が助成されます
- 人工呼吸器などを使っている場合は、さらに上限が下がります
- 申請には、指定医が作成する医療意見書が必要です。申請先はお住まいの自治体(保健所など)です
自立支援医療(育成医療)・未熟児養育医療
- 育成医療:身体に障害がある、または手術などをしないと将来障害が残るおそれがある18歳未満の子どもの治療(心臓の手術、口唇口蓋裂の手術など)で、自己負担が原則1割になります
- 未熟児養育医療:生まれたときの体重が2,000g以下など、入院して養育を受ける必要がある1歳未満の赤ちゃんの医療費が助成されます
3. 手当
特別児童扶養手当
病気や障害によって、日常生活に著しい制限がある20歳未満の子どもを育てている保護者に支給される手当です。知的障害・発達障害・身体障害に加えて、長期の病気による状態も対象になりえます。障害者手帳がなくても、医師の診断書で判定されます。
| 等級 | 月額(2026年4月分から) |
|---|---|
| 1級 | 58,450円 |
| 2級 | 38,930円 |
- 保護者(受給者)や扶養義務者の所得が一定額以上の場合は支給されません
- 原則として年3回、4か月分ずつまとめて支給されます
- 申請先はお住まいの市区町村の窓口です。申請した月の翌月分からの支給になるため、さかのぼっては受け取れません
障害児福祉手当
重度の障害があり、日常生活で常に介護が必要な20歳未満の子ども本人に支給される手当です。月額は16,560円(2026年4月分から)です。施設に入所している場合や、所得が一定額以上の場合は対象外です。
4. 療育・通所の支援と手帳
障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)
発達に心配のある子どもや障害のある子どもが、療育や放課後の支援を受けられるサービスです。障害者手帳がなくても、医師の意見書などで必要性が認められれば利用できることがあります。
- 自己負担は原則1割で、世帯の所得に応じた月の上限額があります(非課税世帯は0円、一般世帯は4,600円または37,200円)
- 3〜5歳(小学校入学前の3年間)の児童発達支援などは、利用料が無償化されています
- 利用するには、市区町村で「通所受給者証」の申請が必要です。相談支援事業所がサービスの計画づくりを手伝ってくれます
障害者手帳
- 療育手帳:知的障害のある方が対象です(自治体によって「愛の手帳」などの名称があります)
- 精神障害者保健福祉手帳:発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)も対象になりえます
- 身体障害者手帳:心臓・腎臓などの内部障害、肢体不自由、視覚・聴覚障害などが対象です
手帳を持つと、税の控除や公共料金・交通機関の割引などが受けられます。ADHDなどで通院している場合は、自立支援医療(精神通院医療)で通院医療費の自己負担が原則1割になります。
5. 20歳になったら:障害基礎年金
特別児童扶養手当や障害児福祉手当は20歳までの制度です。20歳以降も病気や障害で生活に支障が続く場合は、障害基礎年金の対象になりえます。
- 20歳より前に初診日がある場合(20歳前傷病)は、保険料の納付要件は問われません
- そのかわり、本人の所得による支給制限があります
- 20歳の誕生日の前後に請求の準備を始めると、手当から年金への切れ目を小さくできます。初めて受診した医療機関の記録を確認しておきましょう
くわしくは「働けなくなったときの制度の使い方と順番」の障害年金の節もご覧ください。
困ったときの相談先
- 病院の医療ソーシャルワーカー(医療福祉相談室・患者支援センターなど):小児病院や大学病院などには、子どもの病気の制度にくわしい相談員がいます。無料で相談できます
- 保健所・市区町村の担当窓口:小児慢性特定疾病の医療費助成の申請先です(自治体によって異なります)
- 市区町村の子育て支援・障害福祉の窓口:子ども医療費助成、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、通所受給者証の申請先です
- 児童発達支援センター・相談支援事業所:療育や通所サービスの相談、利用計画づくりを手伝ってくれます
- 小児慢性特定疾病児童等自立支援員:自治体によっては、学校生活や将来の自立について相談できる支援員がいます
生活費が立ち行かないときは、お住まいの市区町村の自立相談支援機関や福祉事務所にもご相談ください。困ったときに使うための制度があります。
6. 状況に合う制度を、制度チェック・LINEで確認してみませんか
子どもの制度は、病気や障害の種類、年齢、世帯の所得によって、対象になる組み合わせが大きく変わります。当サイトの「制度チェック」では、2つの質問にタップで答えるだけで、状況に合いそうな制度と相談先をご案内しています。
制度チェック(2つの質問でわかる)はこちら。最初の質問で「子どもの病気・障害のこと」を選んでください。
制度の更新情報や解説をLINEでお届けします
友だち追加はこちらご案内する内容は制度の一般的な情報であり、実際に対象になるかどうかは個別の状況によって異なります。詳しい条件は、記事本文および各制度の窓口でご確認ください。
7. 免責事項
- 本記事は、子どもの病気・障害で対象になる可能性がある代表的な公的支援制度を、一般的な情報として紹介するものです。個別の受給可否、支給額、審査結果を保証するものではありません。
- 制度の要件・自己負担額・給付内容は、お住まいの自治体、世帯の所得、病気や障害の状態等によって異なります。必ず各制度の窓口にご確認のうえ、申請手続きを進めてください。
- 本記事は医学的な診断・治療方針に関する助言を目的としたものではありません。治療や療育に関するご相談は、主治医・専門機関にご相談ください。
- 制度の内容は法改正等により変更される場合があります。記事内の情報は最終更新日時点のものです。
出典・参考情報
- 小児慢性特定疾病:小児慢性特定疾病情報センター「医療費助成に係る自己負担上限額」、東京都福祉局「小児慢性特定疾病医療費助成制度の概要」
- 特別児童扶養手当・障害児福祉手当:厚生労働省「特別児童扶養手当について」、各自治体「令和8年4月からの手当額」
- 障害児通所支援:こども家庭庁「障害児支援施策」
- 障害基礎年金:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件(20歳前傷病)」

