移動支援で使える公的支援制度まとめ

屋外での移動に困難がある方にとって、「一人で外出できない」という状況は、通院や買い物、余暇活動といった日常のあらゆる場面に影響します。そうした外出を支えるために、ガイドヘルパーが同行してくれる公的な制度がいくつも用意されています。

ただ、制度の名前が複数あり、しかも障害の種類によって対象になる制度が違ったり、制度同士が「原則どちらか一方しか使えない」関係になっていたりと、少し分かりにくい仕組みになっています。

このページでは、屋外での移動に困難がある方が対象になりうる代表的な5つの制度をご紹介します。

1. 導入:まず知っておきたい5つの公的支援制度

制度名主な対象ひとことで言うと
移動支援事業全身性障害・知的障害・精神障害等市町村ごとの事業。内容・自己負担は自治体差が大きい
同行援護視覚障害全国一律の基準で利用できる個別給付
行動援護知的障害・精神障害(行動上の困難)強度行動障害のある方の外出を支える
重度訪問介護重度の肢体不自由等居宅介護と外出支援を長時間・一体的に
通院等介助障害支援区分1以上の方全般通院に特化した移動支援
★誤解しやすいポイント:移動支援事業と、同行援護・行動援護・重度訪問介護(個別給付)は、原則としてどちらか一方しか利用できません。個別給付の対象になる方は、そちらが優先されるのが一般的です。「移動支援事業を申請したら対象外と言われた」という場合、実は他の制度の対象になっている可能性があります。
※本記事は制度の一般的な情報を紹介するものであり、個別の受給可否をお約束するものではありません。最新の制度内容は各制度の公式窓口でご確認ください。

医師の視点総合診療医のひとこと

同行援護や行動援護を使うには、障害支援区分の認定に1〜2か月かかることがあります。通院の付き添いが必要になりそうだと感じたら、早めに市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に相談してください。

― “おせっか医”になりたい大学病院総合診療科・家庭医専攻医

2. 移動支援事業

市町村ごとに内容が異なる、地域密着型の制度です

屋外での移動が困難な障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた方を対象に、ガイドヘルパーを派遣する制度です。「地域生活支援事業」の一つとして、市町村が実施主体となっています。

実施方法はさまざま

  • 個別支援型:マンツーマンでの支援
  • グループ支援型:複数の障害者等への同時支援、屋外でのグループワークなど
  • 車両移送型:福祉バス等車両の巡回による送迎支援
★注意:この制度は市町村事業のため、対象者の範囲・支給量(月の利用時間の上限)・自己負担の有無・通勤や通学での利用可否などが、お住まいの自治体によって大きく異なります。「他の市区町村ではこうだった」という情報をそのまま当てはめることはできません。

申請の流れ

  1. お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談する
  2. 申請書・世帯状況申告書等を提出する
  3. 審査を経て、支給量・支給区分等を記載した受給者証が交付される
※本記事の内容は制度の一般的な説明です。正確な対象要件・支給量・自己負担は、必ずお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

3. 同行援護

視覚障害のある方の外出を支えます

視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者・障害児が対象です。移動支援事業とは異なり、こちらは「個別給付(義務的経費)」に位置づけられており、国の基準に基づいて全国どこでも一定の水準で利用できるのが特徴です。

対象になる方

同行援護アセスメント票の調査項目(視力障害・視野障害・夜盲・移動障害)において、一定の基準を満たす方が対象になります。

支援の内容

外出時にヘルパーが同行し、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、移動の援護、排せつ・食事等の介護、その他外出時に必要な援助を行います。

※本記事の内容は制度の一般的な説明です。正確な認定基準・自己負担額は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

4. 行動援護

知的障害・精神障害による行動上の困難を支えます

知的障害または精神障害により行動上著しい困難を有し、常時介護を要する障害者・障害児が対象です。障害支援区分3以上で、行動関連項目等の合計点数が10点以上であることが目安になります。

支援の内容

  • 行動する際に生じ得る危険を回避するための援護
  • 外出時の移動中の介護
  • 排せつ・食事等の介護その他行動する際に必要な援助

行動の予定が分からないことで不安定になるのを防ぐ「予防的対応」、問題行動が起きた際に適切におさめる「制御的対応」なども含まれます。

※本記事の内容は制度の一般的な説明です。正確な認定基準・自己負担額は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

5. 重度訪問介護

居宅介護と外出支援を長時間・一体的に

重度の肢体不自由者、または重度の知的障害・精神障害により行動上著しい困難を有し、常時介護を要する障害者が対象です。障害支援区分4以上に該当し、一定の要件を満たす必要があります。

支援の内容

居宅における入浴・排せつ・食事等の介護、家事、生活全般にわたる援助に加えて、外出時における移動中の介護も対象に含まれます。日常生活に生じるさまざまな介護の事態に対応するための見守り等の支援も含まれるのが特徴です。

実務上のポイント

居宅介護と外出支援を一体的に、長時間にわたって利用できるため、重度障害のある方の一人暮らしを支える制度として位置づけられています。

※本記事の内容は制度の一般的な説明です。正確な認定基準・自己負担額は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

6. 通院等介助

「通院」に特化した移動支援です

居宅介護の一類型として位置づけられている制度で、障害支援区分1以上の障害者等が対象です。病院等への通院のための移動介助や、屋内外における移動等の介助、通院先等での受診手続き・移動等の介助を行います。

移動支援事業では「通院を目的とした外出」が対象外とされている自治体も多く、そうした場合はこの通院等介助が優先して使われます。通院に困っている方は、まずこちらの制度が使えないか確認してみましょう。
※本記事の内容は制度の一般的な説明です。正確な対象要件・自己負担額は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

困ったときの相談先

  • 市区町村の障害福祉担当窓口:障害支援区分の認定や、各サービスの申請先です
  • 基幹相談支援センター・相談支援事業所:サービスの利用計画づくりや、どのサービスが合うかの相談ができます

生活費が立ち行かないときは、お住まいの市区町村の自立相談支援機関や福祉事務所にもご相談ください。困ったときに使うための制度があります。

7. あなたに合いそうな制度を、LINEで確認してみませんか

ここまで5つの制度をご紹介しましたが、実際には「自分の場合、結局どれが使えるの?」と迷う方も多いと思います。障害の種類や、外出の目的によって、対象になる制度の組み合わせは人によって変わってきます。

公式LINEでは、いくつかの簡単な質問にお答えいただくだけで、あなたの状況に合いそうな制度を選んでご案内しています。

  • 障害の種類(目の障害/知的・精神の障害/体の重い障害)
  • 主な外出の目的(通院/買い物・余暇など)

この2つの質問にタップで答えるだけで、該当しそうな制度をLINEでお伝えします。友だち追加後、画面下のメニューの「すべて見る」→「病名から探す」から「移動支援」をタップすると始まります。「制度を知らないまま権利を使い逃す」ことを防ぐための、pull型(自分で調べる)からpush型(教えてもらえる)への入り口としてご活用ください。

あなたに合いそうな制度をLINEでチェック

友だち追加はこちら

診断結果は制度の一般的な案内であり、実際に申請できるかどうかは個別の状況によって異なります。詳しい条件は、記事本文および各制度の窓口でご確認ください。

8. 免責事項

  • 本記事は、屋外での移動に困難がある方が対象になりうる代表的な公的支援制度を、一般的な情報として紹介するものです。個別の受給可否、支給量、審査結果を保証するものではありません。
  • 制度の要件・自己負担額・給付内容は、お住まいの自治体、所得状況、障害の程度等によって大きく異なります。必ず各制度の公式窓口・専門家にご確認のうえ、申請手続きを進めてください。
  • 特に移動支援事業は市町村事業であるため、自治体によって内容が大きく異なります。本記事はあくまで一般的な傾向を紹介するものです。
  • 本記事は医学的な診断・治療方針に関する助言を目的としたものではありません。治療方針に関するご相談は、必ず主治医にご相談ください。
  • 制度の内容は法改正等により変更される場合があります。記事内の情報は最終更新日時点のものです。

出典・参考情報

  • 移動支援事業:厚生労働省、世田谷区・杉並区・広島市等の公式サイト
  • 同行援護・行動援護・重度訪問介護:厚生労働省
  • 通院等介助:厚生労働省
公開日:2026年9月12日 最終更新日:2026年9月21日
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この記事を書いた人

大学病院の総合診療科で研修中の医師(専攻医)です。外来や病棟では、使える制度を知らないまま、治療費や休職中の生活費に悩んでいる方に出会うことが少なくありません。「知らないと、使えない」をなくしたいという思いから、厚生労働省などの一次情報を確認しながら、病気とお金にかかわる制度をわかりやすく整理しています。

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