「聞こえにくさ」を感じて補聴器の購入を考えたとき、多くの方が驚くのが価格の高さです。片耳だけでも数万円〜数十万円することも珍しくありません。実は、この負担を軽くするための公的な制度がいくつも用意されています。
ただし、どの制度の対象になるかは、「身体障害者手帳の交付対象になる聴力かどうか」によって大きく変わります。手帳の対象になる方と、ならない方(軽度・中等度難聴の方)とでは、使える制度が異なります。
このページでは、難聴・補聴器の購入を検討している方が対象になりうる代表的な5つの制度をご紹介します。
1. 導入:まず知っておきたい5つの公的支援制度
| 制度名 | 主な対象 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 補装具費支給制度 | 身体障害者手帳(聴覚障害)保有者 | 国の制度、原則1割負担 |
| 軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成 | 18歳未満、手帳非該当 | 自治体独自、実施状況に差あり |
| 高齢者補聴器購入費助成 | 65歳以上、手帳非該当 | 介護予防の観点から広がりつつある新しい助成 |
| 医療費控除 | 難聴・聴覚障害全般 | 診療情報提供書があれば対象になりうる |
| 障害年金 | 高度・重度難聴 | 手帳の等級とは別の基準で判定 |
医師の視点総合診療医のひとこと
補聴器は、購入する前に耳鼻咽喉科(補聴器相談医)を受診するのがおすすめです。聞こえの原因に治療できる病気が隠れていないかを確認できるうえ、医療費控除に必要な「補聴器適合に関する診療情報提供書」も出してもらえます。
― “おせっか医”になりたい大学病院総合診療科・家庭医専攻医
2. 補装具費支給制度
身体障害者手帳をお持ちの方向けの制度です
聴覚障害の身体障害者手帳の交付を受けている方、および障害者総合支援法の対象となる難病患者等が対象です。補聴器の購入・修理にかかる費用のうち、国が定める基準額を上限に支給されます。
自己負担の目安
原則1割負担ですが、世帯の所得に応じた月額負担上限額が設定されており、住民税非課税世帯では自己負担がない場合もあります。
申請の流れ
- 耳鼻咽喉科を受診し、身体障害者手帳の交付対象になるか確認する
- 指定医による補装具費支給意見書を作成してもらう
- お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に申請する
3. 軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成
手帳の対象にならないお子さんのための制度です
身体障害者手帳の交付対象とならない18歳未満の難聴児が対象です。言語を習得する時期にあるお子さんの発達を支援することを目的としています。
主な対象条件
- 原則として両耳の聴力レベルが30デシベル以上で、身体障害者手帳の交付対象とならないこと
- 医師が補聴器の装用に効果があると判断していること
助成の内容
補聴器の購入費・修理費の一部を助成します。補助率・上限額は自治体により異なり、購入費の9割を補助する自治体がある一方、実施していない自治体もあります。
4. 高齢者補聴器購入費助成
介護予防の観点から広がりつつある、新しい助成です
65歳以上で、身体障害者手帳の交付対象とならない軽度・中等度難聴の方を対象に、補聴器購入費用の一部を助成する制度です。難聴を放置すると社会的な孤立や認知機能の低下につながりやすいという考え方から、介護予防(フレイル予防)の一環として実施する自治体が増えつつあります。
申請の流れ
耳鼻咽喉科での聴力検査・医師の意見書をもとに、お住まいの市区町村の高齢福祉担当窓口へ申請します。自治体によっては、助成を受ける条件として介護予防活動への参加が求められる場合もあります。
5. 医療費控除
「診療情報提供書」が鍵になります
1年間の医療費の世帯合計が一定額を超えた場合、確定申告をすることで所得控除が受けられます。補聴器の購入費用も、条件を満たせば対象になります。
申請の流れ
- 耳鼻咽喉科を受診して診療情報提供書を発行してもらう
- その情報提供書をもとに補聴器を購入し、領収書を保管する
- 「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告の時期(原則2月16日〜3月15日)に申告する
6. 障害年金
手帳の等級とは別の基準で判定されます
聴覚障害により日常生活や仕事に長期にわたる支障が出ている場合、障害年金の対象になることがあります。
どんな制度か
両耳の聴力レベル等、一定の障害認定基準を満たす方が対象です。等級・年金の種類(障害基礎年金/障害厚生年金)により支給額が異なります。
困ったときの相談先
- 耳鼻咽喉科(補聴器相談医):聞こえの検査と、補聴器が必要かどうかの判断をしてもらえます
- 市区町村の障害福祉担当窓口:身体障害者手帳・補装具費・自治体独自の助成の申請先です
- 認定補聴器専門店:補聴器の調整や試聴の相談ができます
生活費が立ち行かないときは、お住まいの市区町村の自立相談支援機関や福祉事務所にもご相談ください。困ったときに使うための制度があります。
7. あなたに合いそうな制度を、LINEで確認してみませんか
ここまで5つの制度をご紹介しましたが、実際には「自分の場合、結局どれが使えるの?」と迷う方も多いと思います。身体障害者手帳の有無や、ご本人の年齢によって、対象になる制度の組み合わせは人によって変わってきます。
公式LINEでは、いくつかの簡単な質問にお答えいただくだけで、あなたの状況に合いそうな制度を選んでご案内しています。
- 補聴器などを検討している方の年齢(18歳未満/18〜64歳/65歳以上)
- 身体障害者手帳(聴覚)をお持ちか(持っている/持っていない)
この2つの質問にタップで答えるだけで、該当しそうな制度をLINEでお伝えします。友だち追加後、画面下のメニューの「すべて見る」→「病名から探す」から「難聴・補聴器」をタップすると始まります。「制度を知らないまま権利を使い逃す」ことを防ぐための、pull型(自分で調べる)からpush型(教えてもらえる)への入り口としてご活用ください。
あなたに合いそうな制度をLINEでチェック
友だち追加はこちら診断結果は制度の一般的な案内であり、実際に申請できるかどうかは個別の状況によって異なります。詳しい条件は、記事本文および各制度の窓口でご確認ください。
8. 免責事項
- 本記事は、難聴・補聴器の購入を検討している方が対象になりうる代表的な公的支援制度を、一般的な情報として紹介するものです。個別の受給可否、支給額、審査結果を保証するものではありません。
- 制度の要件・自己負担額・給付内容は、お住まいの自治体、所得状況、聴力の程度等によって異なります。必ず各制度の公式窓口・専門家にご確認のうえ、申請手続きを進めてください。
- 軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成、高齢者補聴器購入費助成は、実施していない自治体があります。本記事はあくまで一般的な傾向を紹介するものです。
- 本記事は医学的な診断・治療方針に関する助言を目的としたものではありません。治療方針に関するご相談は、必ず耳鼻咽喉科医にご相談ください。
- 制度の内容は法改正等により変更される場合があります。記事内の情報は最終更新日時点のものです。
出典・参考情報
- 補装具費支給制度:厚生労働省
- 軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成:福岡県・大阪市・千葉市等の各自治体公式サイト
- 高齢者補聴器購入費助成:大阪市公式サイト
- 医療費控除:国税庁
- 障害年金:日本年金機構

