障害年金は、病気やけがで生活や仕事に支障が続いているときに受け取れる年金です。がん、こころの病気、難病、人工透析や人工肛門など、幅広い状態が対象になりえます。
一方で、「初診日が証明できない」「請求が遅れて、もらえたはずの分を受け取れなかった」という理由で、対象になるはずの方が受け取れていないことも少なくありません。手続きの順番と期限を知っておくことが、とても大切な制度です。
このページでは、障害年金の請求(申請)の流れを、準備するものと注意点にしぼってご紹介します。
1. 導入:3つの受給要件
| 要件 | 内容 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 初診日 | その病気で初めて医療機関を受診した日に、どの年金制度に加入していたか | 証明する書類が用意できないことがある |
| 保険料の納付要件 | 初診日の前々月までの加入期間の3分の2以上を納付(免除を含む)、または直近1年間に未納がない | 初診日が決まらないと判定できない |
| 障害の状態 | 障害認定日(原則は初診日から1年6か月後)の状態が、等級に該当すること | 診断書の記載内容が結果を大きく左右する |
医師の視点総合診療医のひとこと
診断書は、主治医が「日常生活でどのくらい困っているか」を書く書類です。診察室では調子のよいときの話になりがちなので、受診の前に、家事や買い物、入浴、服薬の管理などで実際に困っていることをメモにして渡すことをおすすめします。同居されている方から見た様子も書き添えると、より実態に近い診断書になります。
― “おせっか医”になりたい大学病院総合診療科・家庭医専攻医
2. いちばんの関門「初診日」の証明
初診日は、その病気で初めて医師の診察を受けた日です。確定診断がついた日ではありません。たとえば、うつ病の診断が後からついた場合でも、最初に不眠やだるさで内科を受診していれば、その日が初診日になることがあります。
- 初診の医療機関と、その後にかかった医療機関が違う場合は、受診状況等証明書を初診の医療機関に書いてもらいます
- カルテの保存期間は原則5年です。医療機関が廃院していたり、カルテが残っていなかったりすることがあります
- その場合は、当時の診察券、お薬手帳、健康診断の記録、領収書、第三者による証明などで補います。早めに集め始めることが大切です
3. いつから請求できるか
障害認定日
原則は、初診日から1年6か月たった日です。ただし、次の場合はそれより早く認定されます。
- 人工透析:透析を始めてから3か月たった日
- 人工肛門・新膀胱の造設、尿路変更術:造設・手術から6か月たった日
- 心臓のペースメーカー・人工弁、人工関節:装着・置換した日
- 在宅酸素療法:療法を始めた日
- 手足の切断:切断した日
認定日請求と事後重症請求
| 請求の種類 | どんなとき | いつからの分を受け取れるか |
|---|---|---|
| 認定日請求(本来請求) | 障害認定日の時点で等級に該当していた | 認定日の翌月分から。さかのぼれるのは最大5年分 |
| 事後重症請求 | 認定日には該当せず、その後に悪化した | 請求した月の翌月分から(さかのぼりなし) |
4. 請求の流れと必要書類
- 年金事務所(または市区町村の年金窓口)で相談する。初診日、加入していた制度、納付要件を確認します。障害基礎年金だけの請求は市区町村の窓口でもできます
- 受診状況等証明書を取る。初診の医療機関と現在の医療機関が同じ場合は不要です
- 診断書を主治医に依頼する。障害の種類ごとに様式が異なります。認定日請求では、認定日ごろの状態の診断書も必要になります
- 病歴・就労状況等申立書を書く。発病から現在までの経過、日常生活や就労の状況を、自分(または家族)が書く書類です
- 年金請求書と添付書類をそろえて提出する。戸籍や住民票、振込先の口座、子や配偶者がいる場合は関係書類も必要です
- 結果を待つ。審査には3か月程度かかるのが一般的です
5. 受け取れる金額と、ほかの制度との関係
| 等級 | 障害基礎年金(2026年度・年額) |
|---|---|
| 1級 | 1,059,125円+子の加算 |
| 2級 | 847,300円+子の加算 |
| 3級 | 障害厚生年金のみ(最低保障額 635,500円) |
※金額は昭和31年4月2日以後に生まれた方の場合です。子の加算は2人目まで各243,800円、3人目から各81,300円。障害厚生年金は、これに加えて(3級は単独で)報酬に応じた額が支給されます。
- 傷病手当金:同じ病気で障害厚生年金を受け取れるようになると、傷病手当金は差額のみの支給になります
- 失業給付:障害年金と同時に受け取れます
- 働きながらの受給:「働いていると受けられない」とは限りません。仕事の内容や職場の配慮の状況などが総合的に判断されます
- 20歳前に初診日がある場合:保険料の納付要件は問われませんが、本人の所得による支給制限があります
6. 決定後のこと
- 更新(障害状態確認届):多くの場合、1〜5年ごとに診断書を提出して、障害の状態を確認します。誕生月の末日までに提出します
- 額改定請求:障害が重くなったときは、等級を上げる請求ができます
- 不服申立て:結果に納得できない場合、決定を知った日の翌日から3か月以内に審査請求ができます
困ったときの相談先
- 年金事務所・街角の年金相談センター:初診日や納付要件の確認、書類の受け取りと提出ができます。予約しておくと待ち時間が短くなります
- 市区町村の年金窓口:障害基礎年金だけの請求は、こちらでも手続きできます
- 病院の医療ソーシャルワーカー:診断書の依頼の仕方や、申立書の書き方の相談に乗ってもらえます
- 障害年金を専門とする社会保険労務士:初診日の証明が難しい場合や、書類の準備に不安がある場合の選択肢です(有料。成功報酬が一般的)
生活費が立ち行かないときは、お住まいの市区町村の自立相談支援機関や福祉事務所にもご相談ください。困ったときに使うための制度があります。
7. 状況に合う制度を、制度チェック・LINEで確認してみませんか
当サイトの「制度チェック」では、2つの質問にタップで答えるだけで、状況に合いそうな制度と相談先をご案内しています。制度チェックはこちら。「収入が減った・仕事を休んでいる」から進むと、障害年金を含むご案内が表示されます。
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8. 免責事項
- 本記事は、障害年金の請求手続きを一般的な情報として紹介するものです。個別の受給可否、等級、支給額、審査結果を保証するものではありません。
- 障害の状態の判定は個別の事情によって大きく異なります。必ず年金事務所や専門家にご確認ください。
- 本記事は医学的な診断・治療方針に関する助言を目的としたものではありません。
- 制度の内容は法改正等により変更される場合があります。記事内の情報は最終更新日時点のものです。
出典・参考情報
- 日本年金機構「障害年金」「障害基礎年金を受けられるとき」「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」

